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長崎家庭裁判所 昭和46年(家)348号 審判 1971年5月10日

国籍 中華民国

申立人 張蓮芳(仮名)

国籍 中華民国

事件本人 張華生(仮名)

他一名

主文

本件申立を却下する。

理由

本件申立の要旨は「申立人は国民金融公庫より金一、〇〇〇万円の、株式会社西日本相互銀行大波止支店より金二、五〇〇万円の融資を受け、その担保として、前者につき申立人の子である事件本人二名が共有持分権を有する別紙目録記載の物件中(一)(二)の物件に、後者につき右目録記載(三)の物件に、各抵当権を設定するについて、未成年者たる事件本人らのために特別代理人の選任を求める。」というのである。

本件関係人はいずれも中華民国の国籍を有する中国人である。しかして本件申立事項は親子間の法律関係の性質を有するものであるから、法例第二〇条により母の本国法である中華民国法に準拠すべきものである。

ところで中華民国法によれば、本件のような場合母子間に利益相反関係ありとして民法第人二六条に定めるような特別代理人の選任を求むべき規定はなく、かえつて同国民法によれば本件の如き場合でも法定代理人である母は未成年者のために適法な代理行為をなす権限を有し、あえて特別代理人の選任を必要としないものと解せられる。よつて本件申立は理由なきものとして却下することとし、主文のとおり審判する。

(別紙省略)

(家事審判官 江崎弥)

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